警察×検察×裁判所(HUNTER×HUNTER風)。

我が家のすぐ傍を走る青梅街道は、新宿から先、靖国通りと名を変える。


歌舞伎町から厚生年金会館を過ぎて、曙橋の中央大学、隣はには防衛庁の門。この奥には、三島由紀夫が割腹自殺を果たした陸上自衛隊市谷駐屯地がある。外堀通りとの交差点である市ヶ谷駅を越え、靖国神社日本武道館に挟まれた坂の袂は、かの“やんごとなきお方”が住まわれる皇居の北側に位置する九段下だ。神保町、小川町と、かつて東京のカルチェラタンと呼ばれた界隈を通り過ぎた岩本町の先、ここまで左右に隙間なく並んでいた建造物が途切れる。
隅田川だ。人工的な流れを自然の流れが遮る。南から西へと傾きはじめた日の光に輝く水面を水上バスが往く。潮の余韻を孕む風が、河口に広がる東京湾の眺望を想起させる。
隅田川にかかる両国橋の辺りから道幅が細くなる。道幅が広く、真っ直ぐに走る道の下には様々なものが埋められていると言うが、新宿からここまでは計3本の地下鉄が靖国通りの地下を走っており、道幅の変化は、地下鉄との並行が終わることも意味している。橋の先は、一区画隔てた北側の総武線と並走する。丸井などが立ち並んで、通りが再び活気を帯びる辺りが錦糸町駅前。
西から東へと東京を縦断してきたツーリングはここで終わる。


なんで東京横断ツーリングなどを敢行したかというと、去年の4月にスピード違反で切られたキップをすっ飛ばしていたら警察から今月中に出頭しろとの通知がきていて、その出頭通知のハガキに指定された場所が、錦糸町駅北口から程近い錦糸公園の隣にある交通捜査課墨田分室だったのだ。
建物の外観からして斜陽の似合う造りで、その中で働く人々も、見るからにノンキャリ窓際族といった感じ。外から中から哀愁が漂う。
小さな3階建ての建物なのだが、ここには警察・検察・裁判所と、1階から順に各階ごとに三つの機関が設けられている。警察官による取調べ→検察官取調べと略式命令の請求→裁判所の略式命令と、私を含めた出頭者は1階から3階までをベルトコンベアに流されるが如く手続きを受けていく。取調べはとても形式的で、たいした取調べも無く事実確認のみ。事務的に読み上げられことに、ただ相槌を打っていれば良いだけである。
略式裁判で罰金刑を言い渡され、帰りがけの1階で罰金の納付を済ませれば全行程の終了である。
罰金刑の額は交通キップを切られた時と同じ金額で、私の場合は12000円である。が、そんな金など持っている訳が無く、後日支払いを申し出て帰ってきた。
合理的な道線。とても簡潔な形式的ルーティン。想像以上にあっさりとしたものだった。
それにしても…これって罪として前科になったりするんですかね?なるとしたら、このお手軽さは怖いぞ。罪の意識など全くもつ行為ではないのだから。