「ロスト・イン・トランスレーション」鑑賞。

親の七光りなんかじゃなく、ソフィア・コッポラという監督は筋が良い。監督初作品である「ヴァージン・スーサイズ」も良かったが、本作も良い。
舞台は東京。明るく照らすネオンとは裏腹に深遠な空虚を孕む巨大都市で、出会った二人。意思疎通の出来ない異国で感じる疎外感や孤独感が共感し合い、ゆっくりと静かに身を寄せ合いながら儚い想いを共有していく。言葉にしたら、一歩踏み込んだら壊れてしまいそうな関係を崩さぬように、プラトニックで曖昧に保たれた関係は旅の終わりと共に終わりを告げる。
繊細で微妙な関係を「間」で表現する感覚が日本的であるが故に、舞台が東京であったことがフィットする。日本のハイエンドな現在と、伝統的な美がリアルに描写されていてその美しさにはため息が出る。フォトグラファーとしての肩書きも持つ監督ならではの映像美はカメラワークを含めて秀逸。
繊細で奥深い、こんな切なさは意外と好物なのだ。

2003年/米
監督/脚本:ソフィア・コッポラ
製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ /フレッド・ルース
音楽:ブライアン・レイツェル /ケヴィン・シールズ
出演:ビル・マーレイ /スカーレット・ヨハンソン /ジョヴァンニ・リビシ /アンナ・ファリス /林文浩 /マシュー南


ロスト・イン・トランスレーション [DVD]

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ヴァージン・スーサイズ [DVD]

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