「エレファント」鑑賞。

昨年ターザン山本!氏主催の「シネマ一揆塾」にSHIBD君と半分参加(?)した際のお題であった「GERRY」の監督、ガス・ヴァン・サント監督の作品である。「GERRY」は面白くなかっただけに、こちらはいかがなものか・・・


米コロンバイン高校の銃乱射事件を題材とした本作。
感情移入可能な特定の主人公は不在で、登場人物をそれぞれにスムーズなカメラワークで追っていく。そこで映し出されるのは何気ないハイスクールの日常だ。生徒間の会話も全てが日常の延長である。有り触れたハイスクールの閉塞感。淡々と流れる時の中で、突如悲劇が起こる。不条理な悲劇と対比される繊細な美が、より一層のリアリティと恐怖を与える。思い返してみると「GERRY」でもこの対比がなされていた。絶望的な不条理と、圧倒的な自然の美。
論議の尽きないモチーフからは徹底的に特定の思想は排され、様々な不特定な生徒の視線を通して悲劇を目の当たりにするだけだ。
特定の視座は一切無く、観る者はただ俯瞰するのみである。そして静かだが強烈な衝撃について考えるべきなのだ。

2003年/米
監督/脚本:ガス・ヴァン・サント
製作:ダニー・ウルフ
製作総指揮:ダイアン・キートン /ビル・ロビンソン
出演:ジョン・ロビンソン /アレックス・フロスト /エリック・デューレン /イライアス・マッコネル /ジョーダン・テイラー


エレファント デラックス版 [DVD]

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