とある昼下がり。

DICE2005-03-12

空は暗く重たい雲に覆われていて、太陽の光は届かない。
いつ降り始めたのか、いつ止むのか、それとも世界の最初から終わりまで降り続けるのか知れない雨が、暗雲から地上に零れ落ちていく。
雨の音だけがサッシの隙間をすり抜けて聞こえる薄暗い部屋。
若干の湿気と冷気、ひどくアンニュイだ。


私はリビングのソファに沈み込むように深く腰掛け、時折強く吹く風に呷られた雨粒が窓ガラスに叩き付けられては流れ落ちていく様を眺めている。
視界の先で、窓際に立って滑り落ちる雫を指でなぞっている女の後姿。
レイヤーが強調されたロングウルフの黒髪。
小さな肩幅の華奢な肢体は、その細さが強調されるようなタイトなローライズのジーンズとカットソーに身を包み、ダークオリーブのジャケットを羽織っている。


女は私の彼女のようだ。
私と女の間に遡れる過去は見当たらない。ただ、今というこの時を共にしているというだけ。
それでも、きっと彼女なのだろう。
二人だけのこの部屋が、そういう認識がを湛えている。それを感じる。
もしかしたら、享受され続ける「現在」を生きるのに記憶や時系列なんて不要なのかもしれない。
この瞬間に感じているもの。それが全てだ。


「雨の雫が綺麗…」
相変わらず滴る雨粒を窓越しに指でなぞりながら、振り返って女が呟く。
退廃的なオーラを放つ闇を湛えた瞳が私を見つめる。
背徳を纏った瞳が私を捉えて離さない。
吸い込まれそうになって、返事も出来ず固唾を飲む事しかできない。
魅了されて石になりそうだ。きっと、メデューサの目は彼女のように美しかったのだろう。


私の心中を察したのだろうか、彼女は視線を外してクスッと微笑んで再び視線を戻す。
刹那に彼女の瞳が色を変えた。
夜明けの空のように、浮かび上がった光が次第に闇を溶かしていく。
聖母のように慈愛に満ちた優しい微笑みに、私はまた心を奪われる。
切なくて、愛しくて、美しい。
天使と悪魔が同居する彼女の瞳が私はなにより好きなのだ。


彼女が私に向かって歩を進める。
動くことを忘れた私の膝の上に向かい合うように腰を落として、首に手を回す。そして、ゆっくりと、私に唇を重ねる。
私は彼女が好きだ。共有する思い出はないが、彼女が好きだという想いはこの瞬間だけのものではなく、以前から胸の内に在ったという実感がある。
それなのに、強い戸惑いを覚えて彼女を抱きしめられない。
だからと言って私を求める彼女の想いを遮ることも出来ず、求められる喜びと戸惑いが交錯する中で歯痒い時間が過ぎていく…


どれ位経ったのだろうか。そういえば、ずっと時間感覚が欠落している。
「ねぇ…そろそろ時間やばいんじゃない?」
私は所在無い笑顔を浮かべながらそう呟いて立ち上がり、携帯電話で彼女の為にタクシーを手配する。
彼女はこれから仕事に向かう。
エンターテインメントの世界が彼女の仕事場で、多くのファンの支持を受けるカリスマだ。
「新時代の歌姫」と称される彼女・・・その名は、中島美嘉










まずは、ここまでこの色ボケ文章を読んで頂いたことに感謝と謝罪を致します。
あまりに夢のような出来事だったので、書き記してみたのだが・・・厳密に言うと、夢のような出来事ではなく夢の中の出来事、だ。普段私は全くと言っていいほど夢を見ないが、眠ること以外やる事のない入院生活中に珍しく夢を見て、あまりに衝撃的だったので内容を覚えていたのだ。
私の中島美嘉ファンぶりを露呈するのはこのブログでは初である。今までにも中島美嘉について書きたいという思いは随分前からあったのだが、想いの深さ故に迂闊に書けずにいたので、ようやく書けたという感じで少し気分が晴れやかだ。
実は、アイドルや歌手のファンになったのは、私の人生の中で中島美嘉は初めてなのだ。デビュー当初はなんとも思わず気にもかけなかったが、たまたまMTVで流れた「RESISTANCE」という曲のPVで彼女の美しさに目を奪われて以来、彼女の虜である。中途半端に美嘉たんを登場させたくはないと思っていたのだが、これを機に美嘉タソ :*:・(*´Д`*)ハァハァ・:*:な内容がガシガシ増えそうである。
というわけで、入院中の脳内エピソードですた。