ロマンティック ナンバー44

本日17時起床。すっかり最近は起きるのが遅くなってきている。10時間くらいは働きたいのだが、どうも起きれない。寝付くのが遅い。朝8時くらいになってしまっている。もうちょっと早寝早起き寄りにしていかなければ…と思いながら出勤。18時30分から2時まで7時間30分ネカマネカマ休憩中に、ブックオフで以前から狙いまくっていた「ロリータ℃の素敵な冒険」(大塚英志/著 徳間書店/刊)を偶然発見したので即購入。まだ発売から1ヶ月位しか経っていない新刊である。
ネカマ終了後、本日が公開最終日の「スチームボーイ」(2004年/日本 監督:大友克洋 脚本:大友克洋村井さだゆき 音楽:スティーヴ・ジャブロンスキー 声の出演:鈴木杏/小西真奈美/中村嘉葎雄/津嘉山正種/児玉清/沢村一樹)を観に、ヴァージンシネマズ六本木ヒルズへSHIBAD君と行く。
ヒルズに来たのは、水玉の女王・草間彌生のエキシビジョン「KUSAMATRIX」@森美術館以来。ヒルズで映画を観るのはエミネム主演の「8Mile」ぶりである。カフェ&レストラン、バーが併設されているちょこっとセレブなプレミア専用カウンターを傍目に、フツーのチケットカウンターでオールナイト上映・3時10分からの回のチケットを購入。「スチームボーイ」上映ファーストラン、最後の回である。
ネットや周りの人から見聞きした前評判は覆せず、正直、つまらなかった。
私は、さほど大友克洋の大ファンでもなく、氏の出世作である1988年「AKIRA」の熱狂的なファンでもない。これは、いわゆる“一般”の観客の感想だと思って頂きたい。10年の歳月と24億円の総制作費を投じている作品なので、その莫大なコストに見合う収益を上げなければいけないのだから、“一般”に寄った内容がだろうという予想を以って観た。それにしても、ストーリーが非常に雑。120分もの長尺なのに。この作品を通して大友が伝えたのは何だったのだろうか?主人公レイが問う「科学は何のためにあるのか?」なのか。父と祖父の対立は現実主義と理想主義の対立。その二人の言葉に主張なく間を行ったり来たりする主人公の意志のなさは、“一般”ウケという見地からは致命傷である。感情移入が全く出来ない。そのあやふやさがテーマそのものをぼやけたものにしてしまっている。「科学の発展の裏にある科学者の苦悩」、「戦争の恐怖」そういったものが無規範的に詰め込まれているというのも、テーマの不明瞭さを助長しているように思った。もちろん、大友の真骨頂とも言える緻密なディティールの描きこみというのは健在である。様々なメカ、ロンドンの風景。19世紀を思わせる鈍く暗いトーンの絶妙なカラーリング。カメラワークの奇抜さ。素晴らしいアニメーションであるが故に、それに見合うストーリーであって欲しかった。そこが、宮崎駿とのクオリティーの差ではないだろうか。
今後「スチームボーイ」は全米公開され、ベネチア国際映画祭にクロージング作品として出品されるが、海外での評価はどうなのだろうか。しかもベネチア国際映画祭には、宮崎駿の新作「ハウルの動く城」もコンペディション作品として出品される。「動く城」というネタかぶりも含めて比較されないはずがない。それ以上に、自分に対するパブリックイメージとの戦いの方が苦難なのだろうか。『大友克洋AKIRA』という認識の壁には、日本だけでなく海外でも直面するような予感がしてしまった。
観了後、薄暗い雲に覆われる六本木ヒルズから冷たい雨に降られながら帰宅し、「ロリータ℃の素敵な冒険」を読みながらいつの間にか就寝。






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